ベトナム市場動向
日本側から見たWSE生産の有利性/優位性 ~その1~
日本サンエスにとってベトナム南部に位置するWSE生産は、単なるEMS製造受託の海外生産拠点の一つに留まらず企業のグローバル戦略、コスト競争力、そして安定供給体制を支える上で不可欠な極めて戦略的な位置づけにあります。
その優位性は多岐にわたりますが主に以下の点に集約されます。
1. コスト競争力の確保と生産性の向上
ベトナムは、周辺アジア諸国と比較して人件費や地代などの生産コストが比較的低いという大きなメリットがあります。
日本国内での生産では避けられない高コスト構造に対し、ベトナム工場は製造コストを大幅に抑制することを可能にします。
これにより、最終製品の価格競争力を高め、より広範な市場セグメントへのアプローチや激化する市場競争の中で優位性を保つことができます。
また、ベトナム工場では、長年にわたる生産ノウハウの蓄積と現地従業員への技術指導を通じて生産性の向上に継続的に取り組んでいます。
効率的な生産ラインの構築や不良率の低減は、コスト削減だけでなく納期遵守にも繋がり顧客満足度の向上に貢献しています。
2. 品質管理の徹底と安定した供給体制
ベトナム工場は、日本サンエスの「自社工場」として運営されている点が最大の強みの一つです。
これにより、外部委託先にありがちな品質バラつきのリスクを大幅に低減できます。
日本の厳格な品質基準に基づいた生産管理システムを導入し、定期的な品質監査や従業員教育を徹底することで日本国内工場と同等レベルの品質を維持することが可能です。
これは特にワーカーの安全や快適性に関わる作業服において顧客からの信頼を得る上で極めて重要な要素となります。
また、投資次第ではありますが単一の生産拠点に依存せず国内工場とベトナム工場という複数の生産拠点を保有することは、事業継続計画(BCP)の観点からも極めて重要です。
自然災害や地政学的リスクなどにより、いずれかの工場が生産停止に陥った場合でも他方の工場で生産を継続・補完することでサプライチェーンの寸断リスクを低減し製品の安定供給を確保できます。